仏事の知識

卒塔婆のはなし

 お塔婆のはなし

 今から二千五百年のむかし、お釈迦様が亡くなられた時、悲しみにむせぶお弟子や信者が集まって、ご遺骸を火葬にしました。そして仏舎利(ご遺骨)を八等分して、インドの各地に持ち帰り。塔に納めました。人々はこの塔より、お釈迦様のお徳を慕い、その教えを守り、心の拠りどころとしました。これが仏教で、塔(卒塔婆)を建てるようになったはじまりです。

  • 五輪塔もお塔婆です。

 京都や奈良の古いお寺に行くと、五重の塔や七重の塔があります実はこれらはみな塔婆なのです。印度の言葉「ストゥーパ」がその語源で、塔婆とも塔とも言います。仏教が盛んになるにつれて塔(ストゥーパ・塔婆)は印度だけでなく仏教を信じる国ではどこにでも、仏様に対する最大のご供養として、無数の塔が建てられるようになりました。

  • お塔婆はなぜ建てるのでしょうか

 春秋のお彼岸やお盆、或いはご命日など、あなたがご供養したいと思う時、いつでもお建てください。特に四十九日忌や百ヶ日忌、年回法要の時には前もって功徳主の名を書き出してお寺にご連絡下さい。お塔婆を建てて亡き人を偲び追善のまことを捧げてごお祈り致しましょう。また施食会には是非ともお塔婆を建てて、ご先祖様や亡き人のみ魂をお慰めしたいものです。尚、当院の施食会は毎年七月二十一日です。

  • お塔婆には何が書いてあるのでしょうか

 お釈迦様は、すべての物質が、空・風・火・水、地の五つ元素から成り立つとお説きになりました。これは五大と呼ばれ、梵字という印度の古い文字では、キャ、カ、ラ、バ、アト書きます。お塔婆は、細長い一枚の板のように見えますが、よく見ると上のほうに刻みが入っていて、五大の形に作られています。そして、表側の上に五大の字を書きます。宗旨・宗派によって色々書き方も違います。その下に、ご供養したい方の戒名などを書き、お塔婆を建てた方のお名前と、建てた年月日も書きます。私達の真心が天に通じる時、この世ものちの世も実に一体であって、み仏の世界に交う事が出来るのです。

  • お塔婆にはなぜお経を上げるのですか

 住む世界を異にする亡き方に、私達の真心をお届けするには、どうしても仏さまのお力をいただかないとなりません。そこでお塔婆は、ただ字を書くだけではなく、お経をあげって、間違いなく私達の志が届きますように、仏さまにお願いするわけです。

 渡し守は、人を渡そうと思いながら、知らぬ間に自分も向こう岸に渡っています。亡き方々がみ仏の温かいお救いの中に、永遠の安らぎを得られるようにとお願いしてる中に、いつしかこの私が尊いお育ての中にいかされている事に気がつきます。心からなる追善の志を、お塔婆に心子見て、亡きお方のご冥福をお祈り致しましょう。 (住職記)

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